2026年に学ぶ日本の放棄された家の取得方法と相続登記のポイント

日本では2024年4月1日から「相続登記」が義務化され、相続によって取得した不動産の名義変更手続きは3年以内に完了しなければならなくなりました。この法改正は、長年社会問題となっている所有者不明土地や空き家問題の解消を目的としています。したがって、放棄された家を取得するためには、まず相続登記の適正な手続きを理解し、相続人が誰であるかを確定し、名義変更を行うことが不可欠です。

2026年に学ぶ日本の放棄された家の取得方法と相続登記のポイント Image by christian koch from Unsplash

日本の各地で空き家や放棄された家が目立つようになり、相続人不明のまま長年放置されているケースも増えています。こうした物件を活用したい、適正な所有者を確定したいというニーズは高まっていますが、2024年からの相続登記義務化により、2026年時点では手続きの考え方も変化しています。放棄された家を取得するためには、まず相続関係と登記の仕組みを理解することが重要です。

放棄された家と相続登記義務化の基本

「放棄された家」といっても、法律上は多くが誰かの所有物であり、相続が発生しているのに相続登記がされていないだけ、という場合が少なくありません。2024年4月からは、不動産を相続した人は、相続があったことと自分が相続人であることを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。これが、放棄された家を取得するために知っておくべき相続登記の義務化のポイントです。

義務に違反しても直ちに所有権を失うわけではありませんが、正当な理由なく申請を怠った場合には過料(行政罰)が科される可能性があります。また、相続登記がされていないと、売買や贈与、活用のための担保設定などがスムーズに行えません。放棄された家の取得を検討する前提として、「まずは相続登記で名義をはっきりさせる」ことが欠かせないといえます。

放棄された家を取得する手続きの全体像

放棄された家を取得する際の具体的な手続きの流れは、状況によって変わりますが、代表的なパターンはおおむね共通しています。まず、現地の状況を確認し、固定資産税の納付書や登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、現在の名義人や評価額を把握します。そのうえで、名義人本人やその相続人候補を戸籍等から調査し、連絡・交渉を行います。

相続人が売却や名義変更に同意する場合には、遺産分割協議書や売買契約書などの書類を整えたうえで、法務局に登記申請を行うことになります。一方、相続人が多数いて連絡が取れない、所在不明者がいる、といったケースでは、家庭裁判所での相続財産管理人の選任や、不在者財産管理人の手続きが必要になることもあります。こうした場合は手続きが長期化しやすいため、早い段階で弁護士や司法書士に相談することが現実的です。

相続登記申請に必要な主な書類

相続登記申請に必要な主な書類は、相続関係を証明するものと、不動産そのものを特定するものに大別できます。前者としては、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本・住民票、遺言書がある場合はその写し、遺産分割協議書などが典型例です。相続人が多いほど戸籍の収集範囲も広がり、時間も手間もかかります。

不動産を特定する書類としては、登記事項証明書、固定資産評価証明書、必要に応じて公図や地積測量図などが挙げられます。また、放棄された家の場合、建物が老朽化していることも多く、建物の滅失登記や用途変更が必要になる場合もあります。書類の漏れや誤記があると受理されず、手続きが遅れる原因となるため、事前に法務局の相談窓口や専門家にチェックしてもらうと安心です。

相続登記にかかる費用の目安と実例

相続登記にかかる費用の目安としては、大きく「登録免許税」と「専門家への報酬・実費」に分けられます。登録免許税は、不動産の固定資産評価額の0.4%が原則で、評価額1,000万円なら税額は4万円程度です。このほか、戸籍謄本や住民票、評価証明書などの取得手数料、郵送費などの細かな実費が数千円〜1万円前後かかることが多いでしょう。

専門家に依頼する場合の報酬は、物件の数や相続人の数、共有名義の有無などによって大きく変動しますが、標準的なケースでは司法書士報酬が5万〜15万円程度に収まることが多いとされています。放棄された家の場合、相続関係が複雑であることが多く、調査費用や追加報酬が発生する可能性もあります。以下は、日本の代表的な司法書士法人・サービスにおける相続登記代行の料金イメージです。


Product/Service Provider Cost Estimation
相続登記申請代行(戸建1件・標準難易度) 司法書士法人リーガル・フェイス 報酬5万〜15万円前後+登録免許税+実費
相続登記申請代行(戸建1件・相談料込み) 司法書士法人みどり法務事務所 報酬5万〜12万円前後+登録免許税+実費
相続登記オンライン相談・書類作成支援 弁護士ドットコム関連サービスなど 報酬3万〜10万円前後(難易度・地域により変動)+登録免許税+実費

本記事で言及する価格・料金・費用の目安は、利用可能な最新情報に基づいていますが、将来変更される可能性があります。実際に金銭的な判断を行う前に、必ずご自身で最新情報を確認してください。

共有名義や複雑なケースでの注意点

放棄された家は、相続を繰り返すうちに共有名義が増え、当事者全員の同意を得ることが難しくなっているケースが少なくありません。共有名義や複雑なケースでの注意点として、まず「誰が相続人なのか」を戸籍から正確に確定し、連絡先と意思を一人ずつ確認することが挙げられます。相続人の一部が行方不明の場合には、不在者財産管理人の選任や、相続財産管理人を通じた手続きが必要になることもあります。

また、相続人の中に「相続放棄」をした人がいる場合、その人は原則として最初から相続人ではなかったものと扱われ、その子どもなどに相続権が移る可能性があります。誰が真の利害関係人なのかが分かりにくくなるため、誤った前提で遺産分割協議を進めないことが重要です。最終的には、家庭裁判所の調停や審判を利用せざるを得ない場面もあり得るため、早めに相続・不動産分野に詳しい専門家へ相談し、リスクや期間、費用の見通しを共有しておくと、無用なトラブルを減らすことにつながります。

放棄された家の取得と相続登記は、表面上は「古い家をどうするか」という問題に見えて、その背景には家族関係や地域の課題、将来の資産管理といった多くの要素が絡み合っています。2026年時点では相続登記の義務化が定着しつつあり、名義を曖昧なまま放置することのデメリットが以前よりも大きくなっています。制度の概要と手続きの流れ、必要書類、費用の目安、共有名義のリスクを理解したうえで、自分だけで対応できる範囲と専門家に任せるべき範囲を見極めて進めることが、結果的に時間とコストの節約につながるといえるでしょう。